深夜労働・深夜割増のルール|対象時間と計算方法
2026年8月31日 公開 ・ 約6分で読めます
深夜労働は原則として午後10時から午前5時までが対象となり、25%以上の深夜割増賃金の支払いが必要である。本記事では対象時間の考え方、割増賃金の計算方法、残業・休日労働と重なった場合の割増率、求人票での注意点までを整理する。
深夜労働の対象時間はいつからいつまでか
労働基準法における深夜労働とは、原則として午後10時から翌日午前5時までの間に労働させることをいう。この時間帯に労働者を働かせた場合、事業主は通常の賃金に加えて深夜割増賃金を支払う義務を負う。
対象となるのは正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員など雇用形態を問わない。管理監督者であっても深夜割増の適用は除外されない点は誤解が多く、注意が必要である。時間外労働の適用除外(36協定の対象外)と深夜業の割増義務は別の規定であることを、採用担当者や管理者に周知しておくとよい。
深夜割増賃金の計算方法
深夜割増賃金は、通常の労働時間の賃金に対して25%以上の割増率を乗じて算出する。1時間あたりの基礎賃金が1,200円の場合、深夜時間帯の1時間あたり賃金は1,200円×1.25=1,500円となる。
割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当・通勤手当・住宅手当など労働基準法施行規則で除外が認められている手当は原則として含めない。基礎賃金の算定を誤ると未払い賃金の問題に発展しやすいため、給与計算の際は対象手当の範囲を就業規則・賃金規程で明確にしておくことが望ましい。
深夜労働と時間外労働・休日労働が重なる場合
深夜10時以降に時間外労働(法定労働時間を超える労働)が発生した場合は、時間外割増(25%以上)と深夜割増(25%以上)が重複して適用され、合計で50%以上の割増率となる。さらに時間外労働が月60時間を超える部分については、時間外割増率が50%以上となり、深夜と重なる場合は合計75%以上となる場合がある(中小企業も対象)。
休日労働(法定休日の労働)が深夜時間帯に及ぶ場合は、休日割増(35%以上)と深夜割増(25%以上)が重複し、合計で60%以上の割増率となる。給与計算ソフトや勤怠システムの設定で、これらの重複ルールが正しく反映されているか定期的に確認しておくと安心である。
36協定と深夜労働の関係
深夜労働そのものは、法定労働時間内であれば36協定の締結がなくても行わせることができる。ただし、深夜時間帯の労働によって1日8時間・週40時間の法定労働時間を超える場合は、時間外労働として36協定の締結・届出が必要になる。
シフト制で深夜勤務を組む場合、深夜割増の支払い義務と36協定上の時間外労働の可否は別々に管理する必要がある。求人票や労働条件通知書に深夜勤務の有無と割増賃金の支給条件を明記しておくと、入社後の認識のズレやトラブルを防ぎやすい。
固定残業代(みなし残業)制度での深夜割増の扱い
固定残業代(みなし残業代)を採用している場合でも、深夜割増賃金を固定残業代に含めることは可能だが、その旨と対象時間数を雇用契約書・求人票に明示する必要がある。含まれる割増の種類(時間外・休日・深夜)と時間数が不明確な求人表記は、労働条件の明示義務違反や採用後のミスマッチ・早期離職の原因になりやすい。
固定残業代を超えて深夜労働が発生した場合は、超過分について別途割増賃金を追加で支払う義務がある。固定残業代の範囲を超えているかどうかを毎月確認できる勤怠管理の仕組みを整えておくことが、未払い賃金リスクの防止につながる。
深夜労働がある職種の求人票・採用活動での注意点
深夜勤務がある職種(製造業の交代制勤務、物流、警備、宿泊業、コールセンターなど)を採用する際は、深夜割増の有無や金額の目安を求人票に具体的に記載すると、応募者の母集団形成において訴求力が高まる。曖昧な記載は内定辞退や早期離職のリスクを高める。
面接やオンボーディングの段階で、深夜勤務のシフトパターン・割増賃金の計算方法・休憩時間の取り方について丁寧に説明しておくと、入社後の定着率向上につながりやすい。年少者(満18歳未満)は原則として深夜業に従事させることができないなど、対象者によって法律上の制限が異なる点にも留意する。
この記事のまとめ
- 深夜労働の対象時間は原則として午後10時から翌日午前5時まで、割増率は25%以上
- 時間外労働・休日労働と深夜労働が重なると割増率は合計され、50%〜60%以上になる場合がある
- 管理監督者にも深夜割増賃金の支払い義務はあり、時間外・休日の適用除外とは別に扱う
- 固定残業代に深夜割増を含める場合は、対象時間数と割増の種類を契約書・求人票に明示する
- 深夜勤務がある求人では割増賃金の目安を明記することが、母集団形成と定着率向上につながる