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求人票・募集要項の書き方

求人票のNG表現・禁止ワード一覧|法律違反を避ける書き方

2026年8月31日 公開 ・ 約7分で読めます

求人票には、法律で禁じられた差別表現や、応募者の誤解を招く不適切な表現が数多く潜んでいます。本記事では、年齢・性別・国籍などのNG表現から虚偽・誇大な労働条件まで、避けるべき表現を根拠となる法律とセットで整理し、そのまま使える言い換え例と公開前チェックリストまで具体的に解説します。

なぜ求人票のNG表現は放置できないのか|3つのリスク

求人票は労働契約の入口となる文書であり、そこに書く表現は複数の法律の規制を受けます。年齢や性別を限定する表現は労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法に、虚偽・誇大な労働条件は職業安定法に触れるおそれがあります。「知らなかった」では済まされない領域です。

リスクは大きく3つに整理できます。第一に法的リスクで、虚偽の条件提示などは職業安定法上の罰則対象となる場合があります。第二に掲載リスクで、ハローワークや求人媒体では規定に反する表現は掲載拒否や修正依頼を受けることがあります。第三に採用リスクで、実態と異なる表現は入社後のミスマッチや早期離職、内定辞退を招きます。

とくに中小企業では、求人票を担当者が個人の感覚で作成しているケースが少なくありません。まずは「何がNGか」を法律の根拠とセットで押さえ、質の高い母集団形成につなげることが出発点になります。

年齢を限定する表現はNG|労働施策総合推進法のルールと言い換え

労働施策総合推進法第9条により、労働者の募集・採用では年齢にかかわりなく均等な機会を与えることが原則で、年齢制限は禁止されています。「35歳まで」といった直接的な上限だけでなく、「若手歓迎」「20〜30代が活躍中」など年齢を想起させる表現も、実質的な年齢制限とみなされ避けるのが無難です。

ただし法令には例外事由が定められています。たとえば長期勤続によるキャリア形成を図るため、若年者などを期間の定めのない労働契約で募集する場合(いわゆる例外事由の一つ)などです。例外を用いるときは、その理由を求人票に明示する必要があります。「体力が必要だから」といった漠然とした理由だけでは、例外として認められない場合があります。

言い換えの基本は、年齢ではなく職務要件で表現することです。「30代まで」ではなく「実務経験3年以上」、「若手歓迎」ではなく「未経験者歓迎」「第二新卒歓迎(経験不問)」のように、必要なスキルや経験の水準に置き換えます。原則は「年齢不問」と明記する形になります。

性別を限定する表現はNG|均等法と間接差別に注意

男女雇用機会均等法第5条により、募集・採用で性別を理由とする差別は禁止されています。「営業マン」「セールスマン」「看護婦」「保母」「スチュワーデス」など、性別を限定・想起させる職種名はNGです。それぞれ「営業職」「看護師」「保育士」「客室乗務員」と、性別に中立な名称へ言い換えます。

「女性歓迎」「男性が活躍中」のように、一方の性を優遇・限定する表現も避けます。ポジティブアクション(女性が少ない職場で女性を対象とする等)として認められる限定的な場合を除き、原則として性別を条件にはできません。

見落としやすいのが間接差別です。「身長170cm以上」「体重」「全国転勤に応じられる方」などを、業務上の合理的な理由なく要件にすると、結果的に一方の性に不利となり間接差別に該当するおそれがあります。要件は、その仕事に本当に必要かどうかで判断することが大切です。

国籍・信条・家族・健康を尋ねる表現はNG|公正な採用選考の考え方

厚生労働省は「公正な採用選考」の考え方を示しており、応募者本人に責任のない事項や、本来自由であるべき事項を採用の条件にしないよう求めています。具体的には、本籍・出生地、家族の職業や続柄、住宅状況、生活環境、宗教、支持政党、思想信条などです。これらを求人票の条件や応募書類で尋ねることは、就職差別につながるおそれがあります。

求人票でのNG例としては、業務上の合理的な理由がないのに「日本国籍の方」と限定すること、「既婚者不可」「独身の方」など家族状況を条件にすることが挙げられます。障害者雇用促進法の観点から、「障害のある方はご遠慮ください」「心身ともに健康な方」といった、障害を理由に排除する表現も避ける必要があります。

採用したい人物像は、こうした属性ではなく、担ってほしい業務内容と必要な能力で描くのが基本です。適性と能力に基づく選考を求人票の段階から徹底することが、トラブルの予防になります。

虚偽・誇大な労働条件はNG|職業安定法と明示義務

職業安定法は、労働条件などの明示義務を定めるとともに、虚偽の広告や虚偽の条件で募集することを禁止しています。実際の条件と異なる好条件を掲げて応募を集める行為は、罰則の対象となる場合があります。「必ず月収50万円」「誰でも簡単に高収入」といった、実態を伴わない断定的・誇大な表現は避けてください。

「アットホームな職場」「風通しがよい」といった表現自体が違法なわけではありませんが、実態と乖離すると誤認を招き、早期離職や信頼低下につながります。抽象的な言葉に頼らず、「月1回の1on1を実施」「残業は月平均10時間程度」など、確認できる事実で補うのが望ましい書き方です。

2024年4月からは労働条件明示のルールが拡充され、就業場所・業務の変更の範囲などの明示が求められるようになりました。募集時に示した条件と、実際の契約時の条件が食い違わないよう、求人票と労働条件通知書の整合性を確認しておくことが重要です。

固定残業代・試用期間など誤解を招きやすい項目の書き方

固定残業代(みなし残業代)を採用する場合は、基本給と切り分けて明示するのが原則です。「月給25万円(固定残業代含む)」だけでは不十分とされることがあり、「基本給20万円+固定残業代5万円(30時間分)、超過分は別途支給」のように、金額・対応時間数・超過分の扱いを記載します。固定分を超えた時間外労働には差額の支払いが必要で、そもそも時間外労働をさせるには36協定の締結・届出が前提です。

試用期間についても、その有無・期間・期間中の労働条件を明示します。試用期間中でも労働契約は成立しており、最低賃金や社会保険は適用されるため、「試用期間中は無給」「試用期間中は社会保険なし」といった記載はできません。試用期間中に賃金が本採用時と異なる場合は、その内容を具体的に示します。

こうした項目は、応募者が入社後に「聞いていた話と違う」と感じやすいポイントです。正確に書くことは法令順守であると同時に、入社後のオンボーディングやミスマッチ防止にも直結します。

公開前チェックリスト|NG表現を仕組みで防ぐ

個人の感覚に頼らず、公開前の確認手順を決めておくとNG表現を大幅に減らせます。最低限、次の観点を求人票のテンプレートに組み込みます。年齢を条件・想起させていないか、性別を限定する職種名や要件になっていないか、本人に責任のない属性を尋ねていないか、断定的・誇大な表現がないか、賃金と労働条件を正確に明示しているか、の5点です。

運用面では、作成者とは別の担当者が公開前に読み合わせる二重チェックが有効です。判断に迷う表現は、ハローワークの求人掲載基準や掲載媒体のガイドライン、厚生労働省の公正な採用選考の資料を参照します。曖昧なまま公開せず、確認できてから出す運用にします。

最終的な法的判断が必要な場合や、例外事由の適用可否など個別性の高いケースでは、労働局や社会保険労務士など専門家に確認するのが安全です。本記事は一般的な考え方の整理であり、個別事案の適法性を保証するものではない点にご留意ください。

この記事のまとめ

  • 年齢・性別を限定する表現は原則NG。年齢は職務要件へ、職種名は性別に中立な名称へ言い換え、原則は「年齢不問」と明記する。
  • 本籍・家族・宗教・思想信条・健康など、本人に責任のない属性を条件にしない。公正な採用選考の考え方に沿い、業務内容と必要な能力で人物像を描く。
  • 虚偽・誇大な労働条件は職業安定法に触れるおそれがある。断定的な高収入表現を避け、賃金・労働条件を正確に明示する。
  • 固定残業代は金額・時間数・超過分の扱いを明示し、試用期間中も最低賃金や社会保険は適用される点を守る。
  • 公開前チェックと二重確認を仕組み化し、判断に迷う表現はハローワーク基準や厚労省資料、専門家に確認してから出す。

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よくある質問

「若手歓迎」「20代が活躍中」と書くのは違法ですか。

年齢を条件とする募集は労働施策総合推進法により原則禁止です。年齢を直接書かなくても、年齢層を想起させて実質的な年齢制限となる表現は避けるのが無難です。年齢ではなく「実務経験3年以上」「未経験者歓迎」など職務要件で表現し、原則は年齢不問と明記します。例外事由に該当する場合は、その理由を求人票に明示する必要があります。

「営業マン募集」「看護婦募集」はNGですか。

性別を限定・想起させる職種名は男女雇用機会均等法の観点から避けます。「営業職」「看護師」のように性別に中立な名称へ言い換えてください。あわせて、合理的理由のない身長・体重・転勤要件など、一方の性に不利となる間接差別にも注意が必要です。

「アットホームな職場です」と書くのは問題ありますか。

表現自体がただちに違法となるわけではありません。ただし実態と乖離すると誤認を招き、早期離職や信頼低下につながります。抽象的な言葉に頼らず、面談頻度や残業の実績値など、確認できる事実で補うのが望ましい書き方です。

NG表現を使ってしまった場合、罰則はありますか。

職業安定法上、虚偽の条件で募集する行為などは罰則の対象となる場合があります。年齢・性別による差別的な募集は行政指導の対象となり得ます。求人媒体では掲載停止や修正依頼を受けることもあります。個別の適法性判断は、労働局や社会保険労務士など専門家への確認が安全です。

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