内定を電話で伝える時の伝え方と会話例文
2026年8月31日 公開 ・ 約7分で読めます
内定を電話で伝える際は、伝える順序と言葉選びが応募者の入社意欲や内定辞退の防止を左右する。本記事では、電話をかける前の準備から、実際の会話例、条件説明の注意点、電話後のフォローアップまでを具体的に解説する。
内定通知の電話は「合否連絡」ではなく「口説く場」と位置づける
内定を電話で伝える最大の目的は、単なる合否通知ではなく、応募者の入社意欲を高め、内定辞退のリスクを下げることにある。メールや郵送だけの通知に比べ、電話は熱意や人柄が直接伝わりやすく、応募者側の疑問や不安をその場で解消できる利点がある。
特に中小企業では大手企業のような知名度や条件面での訴求力に限界があることも多いため、電話での丁寧な対応そのものが差別化要素になる。選考の最終段階で他社と迷っている応募者ほど、電話でのやり取りが意思決定に影響しやすい。
電話をかける前に準備しておくこと
電話をかける前に、応募者の氏名・応募職種・選考結果・内定条件(雇用形態、勤務地、想定される入社日、試用期間の有無など)を手元で確認しておく。条件を曖昧にしたまま電話をすると、後日「聞いていた話と違う」といったトラブルや内定辞退につながりかねない。
かける時間帯は、応募者が電話に出やすい平日の日中か、あらかじめ本人の都合を確認できている時間帯を選ぶ。在職中の応募者の場合は勤務中に電話しづらいこともあるため、事前にメールで「〇日〇時ごろお電話してもよいか」と一言確認しておくと親切である。
担当者は、面接を担当した人事担当者または採用責任者が電話することが望ましい。応募者にとって顔の見える相手からの連絡の方が、信頼感と入社への安心感につながりやすい。
電話の基本的な流れと会話例文
電話の流れは、①名乗り・要件の確認、②内定の伝達、③条件の説明、④質問への対応、⑤次のステップの案内、という順序で進めると分かりやすい。以下に一連の会話例を示す。
「お世話になっております。株式会社〇〇、人事の△△です。今、少しお時間よろしいでしょうか。先日ご応募いただいた〇〇職の選考結果についてご連絡いたしました。選考の結果、ぜひ〇〇様に当社で働いていただきたく、内定のご連絡をさせていただきます」
「つきましては、雇用形態は正社員、勤務地は〇〇、入社時期は〇月〇日を予定しております。詳しい条件は追って内定通知書と労働条件通知書を郵送(またはメール)でお送りしますので、ご確認ください。ご不明な点やご質問はございますか」
最後に「ご返事はいつ頃いただけそうでしょうか」と回答期限の目安を確認し、「他にご検討中の企業がある場合も、率直に教えていただければ幸いです」と添えると、応募者が本音を話しやすくなる。
内定条件を電話で伝えるときの注意点
電話では雇用契約そのものは成立しない。労働条件(賃金、労働時間、休日、就業場所、契約期間の定めの有無など)は、労働基準法に基づき書面(電子交付を含む)で明示する義務があるため、電話ではあくまで概要を伝え、正式な労働条件通知書は別途書面で交付する旨を必ず案内する。
給与額や試用期間の条件など、応募者にとって関心の高い項目は、電話の時点であいまいにせず、面接時に提示した条件との相違がないかを確認してから伝える。条件を後から変更すると、内定辞退や信頼低下の原因になりやすい。
時間外労働が発生し得る職種の場合、36協定の締結状況や残業の実態について質問を受けることがある。事実に基づいて答えられるよう、事前に社内の労務担当者と認識をすり合わせておくと安心である。
応募者からよくある質問への対応例
「他社の選考結果を待ってから返事をしたい」と言われた場合は、「承知しました。〇日までにご連絡いただければ大丈夫です」と、応募者の状況に配慮しつつ、無理のない範囲で期限を提示する。過度に急かすと印象を悪くし、内定辞退につながる可能性がある。
「試用期間中の条件について知りたい」という質問には、試用期間の長さ、期間中の待遇の違いの有無、本採用への移行基準を、分かる範囲で具体的に説明する。曖昧な回答は不信感につながるため、即答できない場合は「確認して〇日までに折り返します」と伝え、必ず期日内に回答する。
「入社日を調整したい」と相談された場合は、現職の退職手続きに要する期間などを考慮し、可能な範囲で柔軟に対応する姿勢を示すと、応募者の入社意欲を保ちやすい。
電話の後に必ず行うフォローアップ
電話で内定を伝えた後は、当日中か翌営業日までに、内定通知書・労働条件通知書などの正式書類をメールまたは郵送で送付する。電話だけで済ませず、書面で条件を明確に残すことが、後々の認識違いや内定辞退リスクを防ぐうえで重要である。
返事の期限が近づいても連絡がない場合は、催促と受け取られない言い回しで「ご検討状況はいかがでしょうか」と一度リマインドの連絡を入れる。放置すると、応募者が他社に流れてしまう、いわゆるサイレント辞退のリスクが高まる。
内定承諾後も、入社日までの間に一度は連絡を取り、不安点がないか確認するとオンボーディングの土台づくりになる。内定から入社までの期間が空く場合ほど、定期的な接点が内定辞退の防止に有効である。
この記事のまとめ
- 内定の電話は合否通知ではなく、応募者の入社意欲を高め内定辞退を防ぐための場と位置づける
- 電話前に応募者情報・選考結果・内定条件を確認し、面接担当者など顔の見える相手からかけると効果的
- 電話では条件の概要を伝えるにとどめ、正式な労働条件は書面(労働条件通知書)で必ず明示する
- 回答期限はやや余裕を持って提示し、応募者の状況に配慮した言い回しで確認する
- 電話後は当日〜翌営業日中に正式書類を送付し、返事が遅れる場合は適切なタイミングでリマインドする