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退職手続きの流れ|会社が行う社会保険・雇用保険の手続き

2026年8月31日 公開 ・ 約7分で読めます

従業員が退職する際、会社は社会保険・雇用保険・税務など複数の手続きを法定期限内に進める必要がある。本記事では退職手続きの全体の流れと、各書類の提出先・期限・実務上の注意点を、中小企業の経営者・採用担当者向けに整理する。

退職手続きの全体像|退職日を起点に何をいつまでに行うか

従業員の退職手続きは、退職日の前後で「社内での引き継ぎ・貸与品回収」と「社会保険・雇用保険・税務の手続き」の2系統が並行して進む。多くの手続きには法定の提出期限があるため、退職日が確定した時点でチェックリスト化しておくと漏れを防ぎやすい。

特に社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格喪失手続きは退職日の翌日から5日以内、雇用保険の資格喪失手続きは退職日の翌々日から10日以内に行うことが原則とされている。退職者が次の就職先を控えている場合は、書類の遅延が本人の入社手続きや保険証の切り替えに影響するため、優先度を上げて対応する。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格喪失手続き

会社は「健康保険・厚生年金保険資格喪失届」を年金事務所(または健康保険組合)に提出する。退職者から健康保険証を回収し、扶養家族分も含めて返却する必要がある点に注意する。マイナンバーカードを健康保険証として利用登録している場合でも、資格喪失の届出自体は会社側で行う。

60歳以上の定年退職者が継続雇用される場合など、退職日の翌日に再雇用されるケースでは「同日得喪」という特例の手続きが必要になる場合がある。給与額が変わることで社会保険料の等級も変わるため、通常の資格喪失届とは別の書式・添付書類が求められることがあり、判断に迷う場合は年金事務所に事前確認しておくと手戻りが少ない。

雇用保険の資格喪失手続きと離職票の発行

会社はハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」と、退職者が失業給付(基本手当)を受け取る予定がある場合は「離職証明書」を提出する。離職証明書をもとに離職票(離職票-1・離職票-2)が発行され、退職者はこれをハローワークでの求職者給付の手続きに使用する。

離職票は退職者本人が次の転職先を既に決めている場合は不要なこともあるが、本人の意向を退職前に確認しておくと、不要な書類作成の手間を省ける。離職理由(自己都合・会社都合など)の記載は失業給付の給付制限や給付日数に影響するため、退職者との認識のずれがないよう、退職理由を書面や退職届で明確にしておくことが望ましい。

住民税・所得税・源泉徴収票の対応

住民税を給与から特別徴収していた場合、退職月によって一括徴収か普通徴収への切り替えかが分かれる。1月1日から4月30日までに退職する場合は原則として残りの住民税を最終給与や退職金から一括徴収する扱いとなり、5月以降の退職では本人の希望により普通徴収へ切り替えることも一般に可能とされている。市区町村への「給与所得者異動届出書」の提出も忘れずに行う。

所得税については、退職者に源泉徴収票を交付する義務があり、退職後1か月以内が目安とされている。年の途中で退職した従業員が転職する場合、転職先で年末調整を行うために源泉徴収票が必要になるため、本人から催促される前に発行しておくと信頼を損なわない。

貸与品の返却と社内システムのアカウント整理

社会保険証・社員証・名刺・社用携帯・PC・鍵など貸与品の返却リストを事前に作成し、退職日当日にまとめて回収できるようにしておく。特に社用PCやクラウドサービスのアカウントは、情報漏えいリスクの観点から退職日をもって速やかに権限を停止することが望ましい。

私物と会社支給物が混在している環境では、退職者本人にも事前にリストを共有し、認識を合わせておくとトラブルになりにくい。オンボーディング時に貸与品リストを作成していれば、そのリストを退職時にも流用でき、管理の手間を減らせる。

退職金・未払賃金の精算と最終給与の計算

退職金制度がある場合は、就業規則や退職金規程に基づいて支給額を計算し、退職所得の受給に関する申告書の提出を受けたうえで源泉徴収を行う。申告書の提出がないと退職金全額に対して一律の税率で源泉徴収される点は、退職者への案内で伝えておくとよい。

有給休暇の未消化分は、法律上必ずしも買い取り義務があるわけではないが、就業規則に買い取り規定がある会社もあるため、自社の規定を確認して対応を統一する。最終給与では、日割り計算や残業代の精算漏れがないか、退職前に一度シミュレーションしておくと、退職後の問い合わせ対応を減らせる。

この記事のまとめ

  • 社会保険の資格喪失届は退職日の翌日から5日以内、雇用保険は翌々日から10日以内が提出期限の目安である
  • 離職票の要否は退職者の転職状況によって異なるため、退職前に本人の意向を確認しておく
  • 源泉徴収票は退職後おおむね1か月以内に交付し、転職先での年末調整に支障が出ないようにする
  • 住民税は退職時期により一括徴収か普通徴収への切り替えかが変わるため、市区町村への届出とあわせて確認する
  • 貸与品の回収とアカウント権限の停止は情報漏えい防止の観点から退職日当日に完了させることが望ましい

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よくある質問

退職手続きの社会保険関連書類は、退職日から何日以内に提出すればよいですか。

健康保険・厚生年金保険の資格喪失届は退職日の翌日から5日以内、雇用保険の資格喪失届は退職日の翌々日から10日以内が原則とされている。離職証明書も雇用保険の手続きとあわせて提出するため、同じタイミングで準備しておくと効率的である。

離職票は退職者全員に発行する必要がありますか。

退職者が失業給付を受給する予定がない、または転職先が既に決まっている場合は本人の希望により発行を省略できることが一般にある。ただし後から必要になるケースもあるため、退職前に本人の意向を確認し、書面やメールで記録を残しておくと安心である。

退職金にかかる税金の手続きで会社が注意すべき点は何ですか。

退職者から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けているかどうかで源泉徴収の計算方法が変わる。提出がない場合は退職金額に一律の税率が適用され、退職者の手取りが想定より少なくなることがあるため、事前に案内しておくと問い合わせを減らせる。

住民税の手続きは退職時期によって対応が変わりますか。

1月から4月に退職する場合は残りの住民税を最終給与等から一括徴収することが原則とされ、5月以降の退職では本人の希望により普通徴収に切り替えることも一般に可能とされている。いずれの場合も市区町村への異動届出が必要になる。

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