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求人票・募集要項の書き方

固定残業代(みなし残業)の正しい書き方と記載義務の注意点

2026年8月31日 公開 ・ 約6分で読めます

固定残業代(みなし残業)は、書き方を誤ると求人媒体の掲載拒否や入社後のトラブル、早期離職につながります。本記事では、求人票に必ず明示すべき3つの要素、そのまま使える記載例、よくあるNG表現と修正のコツ、2024年の職業安定法改正との関係までを、中小企業の採用担当者向けに実務目線で整理します。

固定残業代(みなし残業)とは。なぜ書き方が問われるのか

固定残業代は、一定時間分の時間外労働に対する割増賃金を、あらかじめ固定額として毎月支払う仕組みです。「みなし残業」「定額残業代」とも呼ばれ、独立した手当として支給する方式と、基本給に組み込む方式があります。いずれの方式でも、金額と時間の対応関係が明確でなければ、後から「その分の残業代は支払われていない」と判断される場合があります。

求人票での書き方が問われるのは、応募者が受け取る「月給」の中身が、基本給なのか固定残業代なのかで実態が大きく変わるためです。曖昧な表示は、母集団形成の段階では応募を集められても、条件のミスマッチによる内定辞退や早期離職を招きやすくなります。

求人票に必ず明示すべき3つの要素

固定残業代制を採る場合、募集・求人の段階で次の3点をすべて明示することが求められます。これは若者雇用促進法に基づき、厚生労働省が示している取り扱いで、一般に、いずれかが欠けると不十分な表示とみなされる場合があります。

①固定残業代を除いた基本給の額。②固定残業代の金額と、それが何時間分の時間外労働に相当するかという計算方法。③固定残業時間を超えた時間外労働・休日労働・深夜労働について、別途割増賃金を追加で支払う旨。この3点がセットで初めて、正しい明示になります。

この考え方は正社員に限らず、パート・アルバイト等の募集でも、固定残業代を設定するなら同様に当てはまるのが基本です。

そのまま使える記載例(テンプレート)

たとえば月給25万円のうち、4万円を20時間分の固定残業代とする場合、次のように書きます。「月給250,000円(基本給210,000円+固定残業手当40,000円)/固定残業手当は時間外労働の有無にかかわらず月20時間分(40,000円)を支給。20時間を超える時間外労働、休日労働、深夜労働については、別途割増賃金を支給します。」

ポイントは、基本給と固定残業手当を分けて金額を示し、対応する時間数を書き、超過分は別途支払うと明記することの3点です。金額・時間・超過時の扱いがそろっていれば、求人媒体の審査も、労使双方の理解もスムーズになります。

よくあるNGな書き方と修正のコツ

典型的なNG例は次の3つです。「月給25万円(残業代含む)」だけの表示は、基本給と固定残業代の内訳や時間数がわからず不十分です。「みなし残業あり」とだけ書くのも、金額・時間・超過分の扱いがすべて不明で不足しています。さらに、固定残業時間を超えても追加の割増賃金を支払わない運用は、一般に固定残業代制そのものが否定される場合があります。

修正の基本は、内訳・時間数・超過分の3点を必ず補うことです。特に「超過分は別途支給する」という一文は抜けやすいため、求人票のテンプレートに固定文として組み込んでおくと、記載漏れを防げます。

固定残業時間の設定と超過分の割増賃金

固定残業時間は、実態とかけ離れた長時間に設定すると、36協定や長時間労働の観点から問題となる場合があります。「45時間分」など上限に近い設定は、応募者に長時間労働の職場という印象を与え、母集団形成にも逆効果になりやすい点にも注意が必要です。

固定残業代はあくまで一定時間分の「前払い」であり、残業時間の上限ではありません。設定時間を超えた分は、必ず別途割増賃金を計算して支払う必要があります。毎月の実残業時間を記録し、固定分を超えた月は差額を支給する運用をあわせて整えることが、求人票の記載と実態を一致させる前提になります。

2024年4月の職業安定法改正との関係

2024年4月から、求人の労働条件明示では、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準の3点が追加されました。これらは固定残業代の明示とは別の項目ですが、求人票全体としてこれらが不足していると、あわせて修正を求められる場合があります。

固定残業代の書き方を見直すタイミングで、これらの追加項目や、試用期間の有無・条件もあわせて点検しておくと、求人票全体の整合が取れます。募集要項・求人媒体・雇用契約書・就業規則の間で、金額や時間数の表記がずれていないかも確認しておくと安心です。

公開前チェックリストと記載不備のリスク

記載が不十分だと、求人媒体の掲載拒否や行政指導のほか、入社後に「聞いていた条件と違う」というトラブルや早期離職につながります。採用コストをかけて母集団形成をしても、条件のミスマッチで定着しなければ、オンボーディングの手間も無駄になりかねません。

公開前には次を確認します。基本給と固定残業代の金額を分けて記載したか。固定残業代が何時間分かを明記したか。超過分は別途割増賃金を支給する旨を書いたか。求人媒体・雇用契約書・就業規則で数字が一致しているか。これらがそろっていれば、応募者に正確な条件が伝わり、入社後の認識ずれを大きく減らせます。

この記事のまとめ

  • 固定残業代は「基本給の額」「金額と対応する時間数」「超過分は別途支給する旨」の3点をすべて明示する。
  • 内訳・時間数・超過分の一文がそろっていれば、求人媒体の審査も労使の理解もスムーズになる。
  • 固定残業時間は実態に近い時間数で設定し、設定を超えた分は必ず別途割増賃金を支払う。
  • 2024年4月改正で追加された業務・就業場所の変更範囲などもあわせて点検すると、求人票全体の整合が取れる。
  • 求人媒体・雇用契約書・就業規則で金額と時間数を一致させ、公開前にチェックする。

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よくある質問

固定残業代は基本給に含めて書いてもよいですか?

基本給に組み込む方式も可能ですが、その場合でも「基本給のうち何円が何時間分の固定残業代か」を分けて明示する必要があります。含めたまま内訳を示さない書き方は、不十分な表示とされる場合があります。

固定残業時間は何時間まで設定できますか?

法律で一律の上限が定められているわけではありませんが、36協定の範囲や、実際の残業実態とかけ離れた長時間の設定は問題となる場合があります。一般に、実態に近い時間数で設定し、超過分は必ず別途支払うことが前提です。

固定残業分を使い切らなかった月も全額支払う必要がありますか?

固定残業代は、実際の残業が少ない月でも原則として支給する前提の手当です。そのため求人票にも「時間外労働の有無にかかわらず支給」と書く形が一般的です。

求人票と雇用契約書で固定残業代の金額が違うとどうなりますか?

表記の食い違いは、入社後のトラブルや不信につながります。募集要項・求人媒体・雇用契約書・就業規則で、金額と時間数をそろえておくことが重要です。

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